犬の去勢手術について

今回の内容

・去勢手術って?

・メリットとデメリット

・最新の論文について

・手術適期について

・まとめ

去勢手術って?

去勢手術とは、精巣*1を外科的に摘出する手術のことを指します。

陰嚢*2までを摘出することを想像されている方もいるかと思いますが基本的には犬の去勢手術では少し上の部分を切開して精巣だけを取り出します。

お腹を開かない手術になるため基本的には日帰りでの処置となります。

高齢になると病気の治療のために実施することもありますが、基本的には若い時期に病気の予防や行動・情動をコントロールする目的で実施することが多いものです。

術後の糸を気にする子も多いため、当院では吸収される糸を使用し抜糸をしない方法を採用しています。

*1 俗に言う金玉
*2俗に言うおふくろさん

メリットとデメリット

去勢手術についてはメリット(利点)ばかりに焦点が当てられますがもちろん元々あるものを摘出するためデメリットも存在します。デメリットを上回るだけのメリットがあれば手術を検討しても良いかと思います。

【メリット】

  • 病気の予防になる(精巣腫瘍、前立腺肥大、肛門周囲腺腫、会陰ヘルニアetc…)
  • マーキングが減る(但し習慣化したものを改善することは出来ません)
  • ストレスの軽減に繋がる(攻撃性や縄張り本能、交尾欲求などを抑えることが出来ます)
  • 望まない繁殖を防ぐことができる(多い時は一度に6〜10頭程出産することもあります。)

異性で飼育しているときに間違って繁殖してしまったという事例は後を断ちません。ドッグランによっては去勢・避妊手術が条件のところもあるそうです

【デメリット】

  • 繁殖ができなくなる
  • 太りやすくなる
  • ホルモン性の尿失禁がでる可能性がある
  • 全身麻酔のリスクや術後の感染症(噛んだりした場合)のリスクがある

最新のデータについて(2020年)

この論文では犬種によって手術の適正期があるとした報告がされています。但し海外の報告であるため日本に多い小型犬のデーターが乏しく参考程度に考えていただければと思います。

【特に制限のない犬種】シーズー、シェットランドシープドッグ

【6ヶ月以上を推奨】コーギー、ラブラドールレトリバー(関節疾患のリスク↑)

【1歳以上を推奨】ボーダーコリー、ボストンテリア、ゴールデン・レトリバー、ビーグル(腫瘍や関節炎リスク↑)

【2歳以上を推奨】シェパード、バーニーズマウンテンドッグ(関節炎のリスク↑)

Hart, Benjamin L., et al. "Assisting Decision-Making on Age of Neutering for 35 Breeds of Dogs: Associated Joint Disorders, Cancers, and Urinary Incontinence." Frontiers in Veterinary Science 7 (2020): 388.

手術の適正時期について

当院では小型犬であれば7〜8ヶ月、大型犬であれば12ヶ月程度を目安に去勢手術をご提案しています。特に小型犬の子は乳歯が抜けきらず残ってしまうことがあります。そのまま放置するとほぼ100%歯周病に発展するため手術時に抜去してやる必要があります。また永久歯が固まる前(9ヶ月頃)だと歯並びを矯正することも出来るので乳歯が残っている子は早めの手術をオススメしています。(歯科矯正と去勢手術は同時に実施可能です。手術の注意点についてはこちら

*大型犬の場合は↑の論文からも遅くに実施するのが良いとされていますが力が強くなりエリザベスカラーなどを破壊して傷口を舐めてしまうなどのトラブルがあることから早めの実施をオススメしています。

まとめ

去勢手術も手術である以上メリットとデメリットが存在します。ただし犬を家族の一員として迎え、より快適に過ごす上で有益な点もあります。(病気の予防や行動のコントロール)年齢を重ねていても手術は可能ですが、歯のケアなどを考慮すると同時に実施することをオススメしています。

まだ去勢手術を行っていないご家族の方に手術に対して考える参考となれば幸いです。

 

院長 中谷

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