犬・猫の歯科治療って!?〜歯石除去のすゝめ〜

今回の内容

歯科 ひらた動物病院 広島

・歯科治療って何をするの?

・歯石がたまるとどうなる?

・麻酔のリスクについて

・歯石除去後のケアについて

・まとめ

歯科治療って何をするの?

歯の状態は気になるけどどうすれば良いか分からないという事はありませんか?

人の場合、お口の痛みがあれば歯医者さんに行きますが、動物のお口の中はなかなか観察できませんし、よっぽどでない限りお口が痛いと訴えてきません。お口の臭いも「こんなもんかなぁ〜」と放置してしまっているケースがよくみられます。

歯科治療と言われるものには

・歯石を除去する

・歯肉の炎症を治療する

・歯並びを矯正する

・抜歯をする

などなど様々な処置が含まれます。今回は歯科治療の中でも歯石の除去について説明していきます。次のような事が気になる方は是非読んでみてあげてください。

・お口の臭いが気になる

・トリミングで歯石取りをしても臭いが、、、

・全身麻酔って大丈夫?

実際の歯石除去~before~

実際の歯石除去~after~

歯石がたまるとどうなる?

歯石はお口の細菌や食べカスなどが固まって形成されます。要するにバイキンの塊が歯石という訳です。歯石が当たっている歯肉には炎症が起こり、歯周ポケットという溝を形成していきます。最終的には歯だけでなくその周囲の骨まで炎症や溶かしたりしていき歯周病という状態になります

犬の歯周病では全身性の病気に罹患する割合や死亡率を増加させる可能性がある(*1)と言われています。(abstractのみ)

例えば次のような症状があると歯肉炎や歯周病が存在している可能性があります。

・口臭が強い

・口を触るのを嫌がる

・どちらか一方のみでご飯を食べる

・涎が多い

歯周病チェックシート

(*1)人の医療では抗癌剤治療や出産前には歯科検診や歯科治療を実施するのが当然と言われていますが、これは口腔内の環境が全身に影響を及ぼすことが知られているからです。(日本歯周病学会編 歯周病と全身の健康による)

麻酔のリスクについて

手術前には必ず血液検査及びレントゲン検査において麻酔をかけても問題ないかを確認します。特に高齢の子は持病がある場合もあるため必要に応じて手術の一週間前と当日の検査にて異常がないかを確認することもあります。内臓機能に異常がなければ基本的に麻酔下の処置は可能ですので年齢で諦めることなく一度ご相談ください。

また抜歯を行う場合には歯科用のレントゲンにて歯の状態を確認した上で実施しています。(当院の施設について)

無麻酔での歯石除去は日本小動物歯科研究会でも危険な行為であると報告されています。2016年度の報告無麻酔下にて処置中に死亡事故なども報告されており大変危険な処置のためオススメしません。

歯石除去後のケアについて

当院では歯石除去後の痛みや歯肉炎を抑制するために歯石除去後にダイオードレーザによる治療および2種類のフッ素入研磨剤を使用して歯の表面の凸凹を整えています。(ポリッシング)

しかし歯石を除去したらそれで治療が終わりという訳ではありません。人の場合、歯垢を放置すると約20日で歯石を形成すると言われていますが犬の場合2〜3日で歯垢が石灰化して歯石を形成すると言われています。(ビルバックHPより)歯石化してしまうと歯磨きだけでは落とすことが困難になるため早期の歯磨き開始が重要です。

そのため当院では歯石を除去してから2週間程度で院内で預かって歯磨きを実施しています。これは最初からお家ですると嫌がって出来なかったり歯磨きに慣れていないので出血させて今後触れなくなったりするためです。慣れてきたら一緒に歯磨きを観てもらい家で実践してもらいます。

 

歯石除去後のレーザー治療

レーザー治療

専用の機器を使用してツルツルに!

院内での歯磨き(2種類の歯磨き粉でキレイに仕上げます)

まとめ

今回は歯科処置の歯石除去に注目してみました。歯の治療についてのイメージがないと治療するまでに至らず放置されているケースが多々認められます。歯石が溜まると臭いだけでなく全身の病気に繋がっている可能性が報告されているだけに早めの処置でしっかり歯をケアしてあげることをオススメします。口臭が気になるけどなかなか見せてくれない子などについてもお気軽にご相談ください。

院長 中谷

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