猫の行動学について
猫が怒るのは?
先日webセミナーにおいて行動学で有名な入交先生の講義を拝聴させていただきました。
そこで「おっ!」となる点があったのでいくつかご紹介させていただきます。
〜cat anger編〜
毎回のことですが行動学で大事なのは
1.病気による問題か?
2.行動学的な問題か?
普段から怒りっぽいというのも実はどこかに痛みがあったり、甲状腺や副腎といったホルモンのバランスが崩れていただけということも考えられます。またアメリカン・ショートヘアの子に多いのがてんかんを実はもっていてその際に体験したことが恐怖となって残っていることもあります。
ホルモンで怒りっぽくなるというのは人でもあります。
男性も女性もある更年期障害がこれに当てはまります。
(男性の場合LOH症候群というそうです。)外部リンクはこちら
今回は病気は大丈夫という前提のもとでお話を進めていきます。
怒る原因が病気でなかったら...
いきなり怒る原因には何があるのでしょうか
講義では
1.遊び誘発性攻撃行動
2.転嫁性攻撃行動
3.恐怖性攻撃行動
4.母性攻撃行動
などがあると説明されていました。
うちの子がどれに該当するかが分かれば対策を取りやすいかも知れません。
に原因があると考えられるとのことでした。
犬が電信柱にオシッコをかけているのは掲示板の役目をしていると言われるように猫ちゃんも自分の居場所を確保するために掲示板を使うのは当然かと思います。
遊び誘発性攻撃行動について
猫は遊びの天才です。
腕時計に反射した光を追っていくらでも遊ぶことが出来ますし、そんなものをおもちゃにするの?!と驚くこともあります。
ただ遊びすぎると度を越すこともあります。
(東京のハロウィーンパーティーなどが良い例ですね。。。)
この時に生じるのが遊び誘発性攻撃行動と言われるものです。
対策としては決まったぬいぐるみで遊んでやり人に攻撃しそうになると部屋を出て無視することが良いそうです(10秒程度隠れるだけで大丈夫とのこと)
また知育玩具などを使ったり、作ることもストレス発散になるので試してあげてください。(猫、知育玩具、手作りで検索)
転嫁性攻撃反応について
・窓越しに野良がやってきてチキショーと思っている
・(知らない来客がきて)自分の場所が!と思っている
・(違う猫(or 犬)の臭いをつけて帰宅したので)誰よ、この子!と思っている
・撫でるのはそこじゃねぇと思っている
なんだかむしゃくしゃするけど、、、っていう時はきっと誰にでもあると思います。
こういった時に噛んできたりするのが転嫁性攻撃行動です。(なんだか思春期みたいですね)
ひと目でわかる「猫がさわると喜ぶ場所、喜ばない場所」 pic.twitter.com/iWf0Ryrxj4
— にゃあ (@kirikami) July 20, 2013
ひと目でわかる「猫がさわると喜ぶ場所、喜ばない場所」 pic.twitter.com/iWf0Ryrxj4
— にゃあ (@kirikami) July 20, 2013恐怖性攻撃行動について
これは簡単に言えばトラウマです。
例えばてんかん発作を持っていて飼い主さんの近くで発作を起こした時に
飼い主=発作の恐怖
という連想ゲームが出来てしまうことで飼い主を避けてしまうようになることがあります。
トラウマまでなってしまうとなかなか自然に治すことが出来なくなりお薬を併用することが多いそうですが病院ではこのケースが多々認められます。
知らない場所(病院)に来た→キャリーに入ってなくて犬が近づいてきた→めちゃ恐怖
この結果【病院=恐怖体験】となってしまうとなかなか通院するのが嫌になってしまいます。
研修していたオーストラリアでは恐怖を与える前に鎮静剤を打つことが多かったのですが何故か日本では耐えることが美徳のようになりがちです。
誰でも怖いのは怖いので当院では緊張している子には鎮痛剤を投与してからの処置を提案することがあります。
最後に
怒りっぽいことには原因や理由があると考えてそれに対して適切に対処していくことが良好な関係を保つもっと良い方法だと思います。
パニックになってしまう子の中には
・離乳が早すぎた子
・遺伝的に怒りっぽい子
・(脳の)海馬が元々小さい子
なども存在します。
(怒りっぽいチワワさんに脳圧を下げるお薬を処方するだけでフレンドリーになってくれる子もいます)
人が一人ひとり個性があるようにその子にあった治療法を探してあげてください。
相談に際してはしっかりとお話をする必要があるため、ご予約していただければと思います。
院長 中谷