熱中症について
熱中症って?
![](https://vetartz.com/wp-content/uploads/2021/06/IMG_6777-scaled.jpg)
突然ですが当院では6月の中旬頃から熱中症を疑う患者さんが急激に増加しています。
去年(2020年)と比較しても圧倒的に多く、更に猛暑日がこれから続くことからも増加する可能性があります。
熱中症と聞いてよくイメージされるのは外出して日光に当たって熱出して・・・
ではないでしょうか?
でも実はヒトの熱中症の6割は屋内で起こっていると言われています。 (消防庁:熱中症による緊急搬送者状況 2017)
熱中症の定義を調べてみると
体温を平熱に保つため汗をかき、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少や血液の流れが滞るなどして、体温が上昇して重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発症する障害の総称。 (厚生労働省のHPより引用)
となっています。
では動物ではどうかと言うとそもそも汗をかく器官がそれほど発達している訳ではないためすぐに体温上昇し、内臓に損傷を与えてしまいます。
よく体温が高くて状態が悪い事を熱中症と考えがちですがこれは熱中症が重度に悪化した「熱射病」という状態でここまでくると緊急で命に関わる極めて危険な状態となります。
熱中症の原因とは?
では熱中症の原因は何なのでしょうか?
実は熱中症は真夏ではなく梅雨時期に多いことがヒントになっています。
環境省のHPによると熱中症の要因は「環境」「からだ」「行動」によるものが考えられるとしています。 各々を見ていくと
環境:気温が高い、湿度が高い、風が弱い、急に暑くなった、閉めきった室内
からだ:暑さに慣れていない、疲れや病気などで体調がよくない
行動:激しい(慣れない)運動、屋外行動、水分補給できない状況
よくよく見てみると梅雨〜初夏はこれらの条件がすべて揃っています。
特に近年では気温の変動が大きく体調がこれについてこれない状況が多々発生しているため以前と比べても熱中症のリスクが増えていると考えられます。
動物での熱中症のリスク要因としては次のようなものがあります。
・短頭種(パグやフレンチブル)・・・気道が短く熱がこもりやすい
・大型犬・・・もともと熱の産生が多いため
・肥満・・・皮下脂肪の影響で内臓に熱がこもりやすくまた発散しずらい
・心臓や呼吸器の病気がある・・・呼吸数が増加しやすく熱がこもりやすい
・シャンプー・・・毛が濡れて、また乾燥の際に熱がこもる
*緊張しやすい子がトリミングの後に体調を崩しやすいのはこういった影響が考えられます
熱中症の症状について
熱中症かな? と疑った時は以下の症状がないかを確認してあげてください。
一つでも当てはまるようであれば早めに近くの病院へ受診していただくことが大切です。
・はぁはぁとずっと言っている(過度のパンティング)
・口を触ると熱い(粘膜のうっ血および充血)
・ずっと水を飲んでいる(過度の脱水)
・嘔吐・下痢がある(内臓の障害)
・震えている、涎が多い(振戦、意識消失)
・ぐったりしている(運動失調)
熱中症の対策について
熱中症は「からだ」「環境」「行動」の3つの要因があることを説明してきました。
特に動物の熱中症では
①短頭種や持病がある場合は注意し、体調を整える
②高温多湿環境を避ける
③過度の運動を制限する
特にムシムシした暑い日が続いたりすると体がバテてくるため注意が必要です。
熱中症を疑う症状があれば可能であれば体温をお尻から測ってあげてください。
(40℃を超えていると熱中症と判断して良いと考えられます。)
自宅での対策としては風通しの良い冷房の効いた場所に連れていき水を少しずつ与え、徐々に体温を下げることが大切です。 (下げすぎに注意)
まとめ
熱中症は時期を問わず気づかない間に進行していることがあります。
疑われる症状がある場合は早めに病院に受診し、できるだけ早期に治療することが大切になります。
また受診が難しい場合は《対策》でまとめた方法をまずは試してあげてください。