新しい歯肉炎の治療薬(インターベリー®)
今回の内容
- お口の痛みと全身の関係について
- インターベリー®とは
- 使用方法について
- まとめ
お口の痛みと全身の関係について
この度イチゴの果実から抽出された口内炎の治療薬(インターベリー)を導入しました。
当院ではお口の治療に力を入れているのですがその理由の一つとして口腔内ケアは全身のケアに繋がると考えているからです。口腔内トラブルがあるとお口を触らせてくれないだけでなく食欲も低下する傾向にあります。歯の治療後に飼い主さんに聞くと元気になった!という声をよくいただきます。
口の痛みは食事の度に再発します。また涎がドロドロになったり不快な臭いなどは鼻の良い動物達にとっては非常に耐え難いものであると考えられます。今回はお家で出来る口腔内ケア【インターベリー®】について解説していきます。
インターベリー®とは
インターベリー®はインターフェロンα(アルファ)(以下IFN-α)といって神経細胞や免疫担当細胞を活性化し免疫の調節をするのと同時に歯周病原細菌を減らして歯肉炎を改善してくれるという優れものです。
注意点としては歯肉(または口腔内粘膜)に直接塗り込む必要があり飲んでも効果がないということです。ただし治療後の子は比較的お口を触らせてくれるようになる傾向があるため治療後の予防としてはもってこいなお薬だと思います。
使用方法について
お皿に一回分を取り指先を濡らしてペースト状にします
上下左右の歯ぐきを直接マッサージするように数回塗り込みます。
(3~4日間隔で10回繰り返します)
これはわんちゃん用のお薬として販売されましたが猫ちゃんでも効果があったと報告があります。
この場合は液体に溶かし毎日歯肉に滴下したそうです。
(ごり動物病院 土屋先生の発表:http://www.aomori-jyuishikai.jp/PDF/no164.pdf)
猫の歯肉口内炎についての新しい知見についてはこちらを参考してください
まとめ
また最新の論文では抗生剤であるクリンダマイシンとIFN-αを併用することにより歯周病の予防ができると報告しています。(Inhibition of porphyromonas gulae and periodontal disease in dogs by a combination of clindamycin and interferon alpla)
IFN-αは人では抗ウイルス薬や抗腫瘍剤、血液の病気に対する治療など幅広く使用されています。
少しでも口の痛みから開放される犬・猫が増えてくれることが一番の願いです。
ご興味がある方はお気軽に獣医師までご相談ください。
ひらた動物病院
院長 中谷
関連記事
〜追記〜
2023年に猫歯肉炎への適応が追加されました。元々当院では猫の歯肉口内炎や若齢性の歯肉炎に対して症例報告があり、それらに基づいて処方させていただいていましたが改めて適応の追加があったとのことで歯周病の悪化を抑制できる保険適応のお薬が登場したことになります。適応に関しては各々の状態などを確認する必要があるため受診していただき診察してからの処方となりますがステロイドや抗生剤に頼らない治療法が出てきたことは喜ばしいことだと考えています。