悪い腎臓

慢性腎臓病(CKD)について①〜腎臓の機能編〜

慢性腎臓病について

今回の内容

  • 腎臓の機能について
  • 腎機能が低下すると
  • 慢性腎臓病(CKD)とは
  • CKDの原因疾患について
  • まとめ

 

腎臓の機能について

腎臓

腎臓にはさまざまな機能があります。

最もよく知られている機能としては『尿を作る=老廃物の排泄』があります。そのため腎臓の機能が低下すると老廃物の排泄ができずに体に蓄積していくことで様々な症状が現れてきます。主な腎臓の働きは以下のようなものがあります。

  • 老廃物の排泄尿毒症に関連
  • 体液量の調節脱水に関連
  • 酸塩基平衡の調節細胞の代謝に関連
  • 電解質の調節細胞の活動に必須
  • レニンの産生血圧の調整に関係
  • エリスロポエチン産生低下すると腎性貧血
  • ビタミンD3の活性化リン・カルシウム代謝に関係

腎機能が低下すると

腎臓には予備機能があり普段は全ての機能をフル活動させている訳ではありません。年を重ねたり慢性腎臓病になると予備機能が低下し脱水や高血圧などが起こり機能の低下が起こります。

腎機能が低下すると上記で書いたような働きができず徐々に病態が進行していきます。特に犬や猫は非常に濃いオシッコをします。(臭いがキツイのはこのため)これは人よりも少ない水分で「体を維持すること」と「老廃物の排泄」が可能であるという一方で腎機能が低下すると濃縮ができず大量の水が必要になるという事になります。(点滴などの治療が実施されることが多い理由はここにあります)

慢性腎臓病とは

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease)とは持続的(3ヶ月以上)な腎障害の存在及び/または持続的な糸球体濾過量の低下が存在するといった場合に診断されます。現在のところ不可逆的(戻らないということ)に進行し、最終的には腎不全に至ります。

つまり腎疾患が継続することにより慢性腎臓病の状態に至り腎機能低下が起こり腎不全になります。現在、国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS)がCKDのガイドラインを公開しステージⅠ〜Ⅳに病態を分類しています。またステージに応じた対応・治療などを提案しています。ただしこれらは概略であり各々の状態に合わせて調整する必要があり参考程度に考えることが大切です。

慢性腎臓病 IRIS

CKDの原因疾患について

慢性腎臓病(CKD)の原因である腎疾患には以下のようなものがあります。

  • 先天性腎疾患
  • 多発性嚢胞腎
  • 急性腎障害
  • 加齢性の生理的機能低下
  • 尿細管の病気
  • 糸球体の病気

これらの診断には血液検査や尿検査、エコー検査、遺伝子検査などを組み合わせて診断していきますが、確定診断のためには生検が必要な事もあり検査の項目は多岐にわたります。

まとめ

今回は慢性腎臓病(CKD)に関して腎臓の機能から解説していきました。腎臓には様々な機能があり腎疾患の原因も多岐にわたります。このためCKDの進行程度や治療法も各々の原因となる腎疾患により異なります。慢性腎臓病=点滴という訳ではなく可能な限り腎臓の状態を理解し状況に応じた治療が必要となります。そのためには血液検査や尿検査、エコー検査などはもちろんのこと全身状態(循環や脱水など)を通じて腎機能を定期的に評価することが重要です。次はCKDの診断について解説していきます。(慢性腎臓病(CKD)②〜診断編〜

 

 

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