食事反応性腸症について

食事反応性腸症について

今回の内容

  • 食事反応性腸症とは
  • 食事反応性腸症の原因
  • 治療方法について
  • まとめ

食事反応性腸症とは

食事反応性腸症(Food Responsive Enteropathy:FRE)は慢性腸症の一つで食事のみで治療できる腸疾患を指します。症状としてはなかなか治らない下痢が主で腸の動きが早くなることで嘔吐などの症状を呈することもあります比較的全身状態は良く、食欲などが正常にあるため軟便気味ということで様子を見られがちですが、下痢の状態が続くことで毛並みが悪くなったり、体重が低下するなどの症状を呈することがあります。またこれらの症状から他の腸疾患が見逃されることがあり注意が必要です。

食事反応性腸症の原因

根本的な原因は現在分かっていません。比較的若齢の子が多いことが報告されている他、様々な研究から腸内環境(腸内細菌叢)の乱れが要因の一つと考えられています。腸内環境が乱れる原因としては以下のようなものがあります。

  • 食事の変更
  • おやつなどの給与
  • ストレス
  • 栄養バランスの偏った食事(手作り食など)
  • アレルギー

食事反応性腸症では真の食物アレルギーは少ないと考えられており、食事による治療が反応すれば8割程度の症例では元の食事に戻しても再発しないことがこの理由として挙げられます。

治療方法について

真の食事反応性腸症では食事の変更により症状の改善が望めますが、この際に様々な食事を無作為に与えると症状の悪化を招く恐れがあります。そのためまずは低アレルゲン療法食から開始し、反応が乏しければ食物繊維を増やした食事や消化吸収を良くした療法食を試します。この際に重要な事は食事に対して2週間程度試し、改善が認められた場合は最低8週間は継続することが重要となります。どうしても療法食を食べない場合は整腸剤などのプロバイオティクスを試すことがありますが、基本的には食事での反応を見ることが重要と考えられます。具体的な食事については獣医師にご相談ください。

まとめ

今回食事反応性腸症について解説してきました。食事の相談で多いことの一つとして最初の便は良いけど徐々に柔らかくなるなどがあります。これは下痢の初期症状である可能性があり、また放置することで気づいた頃には悪化してしまっている可能性があります。食事の変更で症状の改善が望めるからと言って無作為・無秩序な食事の変更は状態の悪化を招く恐れがあるため獣医師に相談の上で処方食を与えるようにすることが重要です。

院長 中谷

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