犬,くしゃみ

慢性的なクシャミ(鼻腔内視鏡)

鼻腔の感染症検査

今回の内容

鼻血
  • くしゃみの原因について
  • 今回の症例
  • 鼻の内視鏡
  • まとめ

くしゃみの原因

くしゃみの原因は多岐にわたります。実はくしゃみと思っていたものが逆くしゃみだったり咳が原因であったりとします。

くしゃみのメカニズムは鼻粘膜への刺激が原因で起こります。また呼気(息を吐く時)に起こることが特徴で原因としては以下のようなものがあります。

  • 鼻腔内の炎症(感染、異物、アレルギー、歯に関連した炎症)
  • 腫瘍
  • 寒冷刺激
  • タバコの煙などの化学的刺激

一方の逆くしゃみは鼻咽頭粘膜または咽頭部における刺激が原因で起こり、吸気(息を吸う時)に起こります。原因としては以下のようなものがあります。

  • 鼻腔内および口腔咽頭や鼻咽頭における炎症(感染、異物、アレルギー)
  • 腫瘍
  • 鼻咽頭ポリープ
  • 軟口蓋過長症
  • 鼻咽頭狭窄
  • 鼻水が鼻咽頭に垂れてきた時

今回の症例

今回は2歳の猫さんで小さい頃からくしゃみが続いていたとの事でした。最近鼻血を出すようになったことから受診されたという経緯があります。鼻血があると高齢の場合は腫瘍などを疑うのですが小さい頃からあったことから鑑別疾患として

  • 細菌感染
  • 真菌感染
  • 異物による刺激
  • 先天的な構造異常

が疑われたためレントゲンにて状態を確認しました。レントゲン所見では鼻腔内が真っ白(不透過性の亢進)が認められたものの骨の変形はほぼなかったことから真菌感染以外の症状が疑われました。(左:治療、右:治療)で洗浄により明らかに症状が改善していることがわかります。こういった時はまず原因の追求のため鼻腔の観察が重要となります。

 

 

 

 

鼻腔の内視鏡検査

今回は猫ちゃんで鼻の穴が非常に小さいため鼓膜鏡という鼓膜の奥を確認するものを使用しました。鼻を全て観察できるわけではありませんが口側からは細孔径内視鏡で確認しています。処置の流れは以下のようになります

  1. 化膿部分の採材を行い、培養検査を行います。
  2. 誤嚥しないように喉の部分を覆います
  3. 生理食塩水で膿がなくなるまで洗浄を繰り返します
  4. 口から鼻へ内視鏡を入れて出口の観察を行います
  5. 上記に対して内視鏡で吸引しながら洗浄し異物や膿がないかを確認します

今回の場合、真菌(カビ)に対しては培養と鏡検を実施し、菌は院外検査に提出しました。

 

 

鼻血が出ていた方の鼻

正常側(鼻炎は存在)

細孔径内視鏡動画(音が大きいので注意)

まとめ

今回は慢性的なくしゃみに対して内視鏡を用いた検査及び治療を解説してきました。実は人と違って動物たちの鼻の中は非常に入り組んでおり観察が難しい場所でもあります。現時点で最も鼻を網羅的に観察できる検査としてはCT検査がありますが実際の画像が確認できるという点で鼻腔の内視鏡は非常に有効なツールとして考えられます。くしゃみが続く場合や鼻出血を伴う際には早めの検査をおすすめします。

 

 

 

 

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