今回の内容

今回はウサギさんの飼育の基本的情報について解説していきます。飼育の初歩であるものの非常に重要な内容となっていますのでしっかり学んで健康な状態を維持してあげてください。
- お部屋について
- 快適な環境について
- お世話の注意点
- 食事について
- 掃除の仕方
- まとめ
お部屋について

お部屋のポイントとしては次の3点が重要です
- 十分なスペース(少なくとも横60x奥60x高さ50cm以上)
- 足の裏に負担がかからないような工夫(牧草をしっかり敷くなど)
- 丈夫なケージ(ウサギ専用をつかう)
①のスペースについては2,3回跳ねることができるサイズをオススメしています。ウサギさんは普段ケージの中で生活をするためトイレや食器をおいても十分にくつろげる広さが必要です。ウサギの品種によっても大きさが異なるため成長具合なども考慮して選ぶ必要があります。
②ウサギさんの足裏には肉球がありません。そのため硬い床で一日の大半を過ごすと足底皮膚炎(sore hocks)という病気になることがあります。治療には生活環境を整備するなどがありますが予防が一番大切です。
③ウサギ専用のゲージの隙間はある程度の大きさがあり、頑丈な構造になっています。他の動物用のものを転用すると指を詰めて骨折するなどの事故に繋がる可能性があります。またウサギさん専用のものには若い時は運動スペースを広げることができるものもあります。
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快適な環境について
ウサギは汗腺が発達していないため熱中症になりやすいと言われています。(耳で温度を調整している)日本での飼育環境では湿度が高くなることで熱を発散しにくいため部屋の環境を整える事が大切となります。一般的には
- 温度15〜25℃
- 湿度40〜60%
が望ましいと言われています。特に意識が薄れる初夏や秋に熱中症が多いため注意が必要です。
ケージの置き場所については
- 部屋の隅でかつ風通しが良い場所
- エアコンの風が直接当たらない場所(扇風機は特にNG)
- 人通りが多くない場所(出入り口はストレスになります)
時々カーテンを閉めて真っ暗な部屋で飼育されていることがありますが、体のリズムが崩れて体調不良の原因ともなるため光が入る環境での飼育が望ましいです。(直射日光はNG)
お世話の注意点
野生での生活ではウサギは地面に穴を掘って生活しています。地中は一年を通じて温度の変化が少なく夏は涼しく、冬は温かい環境となっています。そのため季節毎の注意点や環境を整える必要があります。
- 春や秋:抜け毛対策のためのブラッシング
- 梅雨:湿度対策(湿度が上がると体温調整が難しくなる、牧草が痛みやすいなど)
- 夏:熱中症対策(室温が30℃を超えると食欲が一気に低下します)
- 冬:人が快適に過ごせる温度(18℃前後)で乾燥に注意します
ケージで飼育していると運動不足になりやすいため安全に遊べるスペースを確保することも大切です。
食事について
ウサギは完全草食動物であり栄養価の低い草から栄養素を吸収するため、消化管が長く盲腸が非常に発達しています。(お腹の2/3程度)腸内には多くの細菌が存在し、それらの活動によりタンパク質やビタミンを合成し栄養を摂取しています。このため腸内環境をいかに健康に保つかが重要となります。基本的に重要なのは以下の3つとなります。
- 牧草
- 水
- ペレット
【牧草】成長期にはアルファルファなどマメ科の植物がタンパク質やカルシウムを多く含むため適しています。但し成長期を過ぎると肥満や消化器症状を呈することがあるためチモシーというイネ科の植物が適しています。牧草には1番刈り2番刈りなどがありますが基本的に1番刈りを与える事が大切です。
(食事に関してはこちらの記事も参考)
【水】以前ウサギは水を飲まないなどと言われたこともあるそうですが、実は良く水を飲む動物です。このため新鮮なお水を常に飲める環境が大切です。
【ペレット】牧草で不足する栄養素の補助として使用します。嗜好性が高いため主食にしないことが大切です。成長期としては主成分がアルファルファで繊維質が16%以上のものが望ましく、6ヶ月以上では主成分がチモシーで繊維質が18%以上(できれば20%以上)のものが望ましいとされています。牧草を食べない元気なウサギさんの原因のほとんどはペレットの多給と言われています。
そうじの仕方
ウサギはゲージの中で一日の大半を過ごすため不潔な状態だと皮膚炎や感染症の原因となることがあります。このため定期的な掃除が大切となります。
【毎日すること】
- トイレ掃除(尿や便の状態を観察します)
- エサや水の容器(汚れや食べ残しがいつもと変化があるかを確認します)
【一ヶ月毎にすること】
- ゲージ全体
- スノコ掃除、トイレの尿石洗浄
*洗浄後はしっかり乾かすことが大切です
まとめ
今回はウサギさんの飼育についての基礎知識をまとめてみました。
食事や病気などに関しては別途記事を書いていきますので参考にしてみてください。ウサギを始め小動物は犬、猫に比べても症状を隠す傾向があるため何か体調に異変・違和感を感じた際は様子を見るのではなく早めの受診をオススメします。
【参考書籍】
- エキゾチック診療 vol.6, .vol.9
- できる!!ウサギの診療
- Ferrets,Rabbits,and Rodents clinical medicine and surgery
【参考HP】