前十字靭帯について
前十字靭帯とは?

体の中で骨と骨を繋ぐロープのようなものが靭帯と言われます。
足の太ももの骨とすねの骨を繋いでくれている部分が十字靭帯であり
前後にあるため各々前十字靭帯、後十字靭帯と呼ばれます。(ペン先の部分)
バスケットボールやラグビーなどジャンプからの着地や方向転換するスポーツで損傷しやすいと言われています。
前十字靭帯が切れるとどうなるの?
靭帯は非常に丈夫な構造をしており関節の制動や誘導、安定に重要な役割を果たしています。
膝の安定性を支えてくれている前十字靭帯が損傷すると膝に血が溜まったり不安定になることで痛みが出てきます。
また長期間放っておくと筋肉の萎縮や半月板の損傷に繋がるため早めの治療が必要となります。
原因・症状について
犬の場合は原因として言われていることとして靭帯の変形があります。
そのため片側が損傷を受けると反対側も損傷する可能性があります。
膝蓋骨脱臼や肥満傾向の場合は更にリスクが増加するため特に注意が必要です。
症状としては
・歩きはじめが遅くなった
・片足を突然上げる、また上げたまま歩く
・足を痛がる
しばらく様子を見ているとこれらの症状は治まり、元に戻ることがあり発見が遅くなりがちです。 症状を繰り返すことで徐々に半月板や周辺の軟骨を傷つけて悪化していき、最終的に靭帯の断裂や周辺の骨の変形を引き起こします。
治療方法について

まずはレントゲン検査にて靭帯が切れていないかを確認します。
靭帯が切れているときは明らかにズレが認められます(写真参考)
その上でエコー検査にて靭帯の状態を観察していきます。
断裂までに至ると治療としては外科手術になります。
そのままにしておくと軟骨の変形などが起こることによって非常に強い痛みがでるため早めの治療をお勧めしています。
術式については担当獣医師より詳しく説明させていただきますのでお気軽にお尋ねください。
補助治療法について

外科手術により靭帯の不安定性は改善しますが長期的な負担に伴う骨の変形や炎症、反対側の損傷などは術後もケアが必要となります。
当院では関節の炎症を緩和する目的でカルトロフェンベット®を使用しており良い報告をいただいています。【詳しくは関節炎にはカルトロフェンベット®】
また抗炎症剤としては2020年に新しく発売されたガリプラント®やモエギイガイを使用したサプリメント(アンチノール®)をオススメしています。【詳しくはこちら】
各々の症状や経過に応じて調整させていただきますのでお気軽にご相談ください。
その他にもフローリングで滑らないようにする、体重管理をする、ベッドやソファーに登らないようにするなど家族の方々の協力も再発防止には必要な補助療法となります。
まとめ
前十字靭帯の断裂は突然の痛みなどで気づきやすい症状がでます。
しかし軽症の場合や部分断裂のみの場合、しばらく様子をみると改善するケースがあり治ったと勘違いしてしまうことがあります。
この場合は炎症が落ち着いているだけで悪化する一歩手前である可能性もあるため早めのレントゲン検査がお勧めです。
足を着かないなどの症状があればお気軽にご相談ください。