今回の内容
・耳垢腺腫について
・耳垢腺腫の診断方法とは?
・治療方法について
・まとめ
耳垢腺腫とは
犬と猫において耳を塞いでしまう病気の一般的な原因となるのが耳垢腺という部分の出来物です。耳垢腺は乳腺などと同じアポクリン腺という腺構造をとっており、この部分からの分泌物により耳の中に入ってくる埃などを吸着・排泄する役割を担っています。
耳垢線が過剰に発達するとベタベタな耳垢となり、臭いの原因となります。
耳垢腺腫はこの耳垢腺が過剰に発達した状態を指します。
(*元々体臭が強い場合には耳垢腺も発達している傾向が多いとのことです)
実際の耳垢腺腫→
耳の中にポリープ様のものがたくさん認められます
診断の方法とは?
耳を痒がる、悪臭または頭を振るなどがあれば耳の確認をしていきます。
きちんとした診断するためには耳の状態を的確に観察する必要があります。
当院では耳の内視鏡であるビデオオトスコープ(詳しくはこちら)を使用して耳の中を観察していきます。
出来物が確認されたら麻酔下にて細胞を採り病理検査に提出します。
(耳の治療は非常に繊細なため麻酔下にて実施します。また痛みや神経症状が極力出ないようにお薬の量なども調整します)
治療法について
実際の治療としては病理検査用の検体の採取と同時に治療を行います。
当院では主に
①生理食塩水を満たした耳の中にダイオードレーザーにて一つずつ焼烙(しょうらく)
②ワイヤー(ポリネクトミー)を使用して引きちぎる(内視鏡などでポリープを取る方法と同じ)
などの方法で出来るだけ耳に損傷を与えないように治療をしていきます。
但し重症化しており完全に塞がってしまった場合には耳道切除という方法をとることもあります。
ごく初期の場合は洗浄と点耳薬の治療だけで改善することもあるため早めの受診が大切です。(最新の点耳治療薬についてはこちら)
まとめ
・耳垢腺腫は耳を塞いでしまう出来物である
・痒みや悪臭、耳漏、出血が認められることがある
・動物病院で耳の中を観察することが大切
・耳を痒がる様子があれば早めに確認してもらう
耳の症状は気づいていてもかなり進行・悪化してから病院に来られることが多い病気の一つです。早めに気づいて治療することで悪化を予防することが出来るため気になる点があればお気軽にご相談ください。
院長 中谷