猫の鼻咽頭ポリープについて|慢性的な鼻炎症状の原因と治療法
猫の慢性的な鼻炎、本当に「鼻だけ」の病気でしょうか?

猫で長期間続く鼻水やくしゃみ、鼻づまりなどの症状は、一般的に慢性鼻炎や猫風邪の後遺症として考えられることが多くあります。
しかし実際には、耳の奥に発生した「鼻咽頭ポリープ」が原因となっているケースも少なくありません。
鼻咽頭ポリープは若齢の猫でも認められる疾患であり、慢性的な鼻炎症状や呼吸音の異常が続いている場合には鑑別診断の一つとして考慮する必要があります。
当院ではビデオオトスコープを用いた詳細な耳科検査を実施し、鼻咽頭ポリープの診断から治療まで対応しています。
鼻咽頭ポリープとは?

鼻咽頭ポリープとは、中耳や耳管周囲の粘膜から発生する良性の炎症性ポリープです。
発生したポリープが鼻咽頭へ伸びることで、
- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻づまり
- いびき
- ガーガーという異常呼吸音
- 開口呼吸
などの症状を引き起こします。
一方で耳側へ進展した場合には、
- 外耳炎
- 中耳炎
- 首を傾ける(斜頸)
- 平衡感覚の異常
などがみられることもあります。
実際の猫ちゃんの耳のポリープです。耳を気にして掻くが耳垢など汚れがないので原因の追求に紹介していただきました。
若齢の猫でも発生します
鼻咽頭ポリープは比較的若齢の猫で認められることが多い疾患です。
「まだ若いから大丈夫」
と思われがちですが、1歳未満から数歳齢の猫でも発生することがあります。
若齢で慢性的な鼻炎症状が続いている場合には、一度耳の検査を行うことをおすすめします。
慢性鼻炎の原因が耳にあることも
慢性的なくしゃみや鼻水がある場合、多くの方は鼻腔内の病気をイメージされます。
しかし鼻咽頭ポリープは耳から発生し、鼻咽頭へ伸びてくる病気です。
そのため、
「鼻の治療を続けているのに改善しない」
「抗生剤を飲むと少し良くなるが再発する」
という症例では耳科検査が重要になることがあります。
ビデオオトスコープによる詳細な検査
当院ではビデオオトスコープを用いて耳道から鼓膜、中耳領域まで詳細に観察しています。
通常の耳鏡では確認が難しい病変でも、
- ポリープの有無
- 鼓膜の状態
- 中耳炎の有無
- 炎症の程度
を高倍率で評価することが可能です。
モニターを通して病変を確認できるため、飼い主様にも現在の状態を分かりやすくご説明できます。
鼻咽頭ポリープの治療

鼻咽頭ポリープは内科治療のみでは改善が難しいケースが多く、外科的な摘出が必要となることがあります。
当院ではビデオオトスコープを使用しながらポリープを摘出し、レーザーを併用して病変部の処置を行っています。
レーザーを使用することで、
- 出血の軽減
- 周囲組織へのダメージ軽減
- 良好な視野の確保
などが期待できます。
鼻腔洗浄も同時に実施しています
当院ではポリープ摘出時に鼻腔内の洗浄も積極的に行っています。
鼻咽頭ポリープでは長期間の炎症により、
- 膿性鼻汁
- 炎症産物
- 細菌
が鼻腔内に蓄積していることがあります。
これらを除去することで、
- 術後の早期回復
- 炎症の軽減
- 再発リスクの低減
を目指しています。
鼻腔洗浄まで実施している施設は比較的少なく、当院が力を入れている治療の一つです。
細菌培養検査による適切な治療
当院では必要に応じて細菌培養検査も実施しています。
慢性的な炎症では耐性菌が関与している場合もあり、経験的な抗生剤投与だけでは十分な改善が得られないことがあります。
培養検査を行うことで原因菌を特定し、より適切な抗菌薬選択を目指しています。
手術後の後遺症について
鼻咽頭ポリープの手術後、一時的にホルネル症候群が認められることがあります。
ホルネル症候群では、
- 瞳孔が小さくなる
- まぶたが下がる
- 瞬膜が突出する
などの症状がみられます。
多くは一時的な変化であり、時間経過とともに改善することが期待されます。
術前には考えられる合併症について十分にご説明した上で治療を行っています。
まとめ
猫の慢性的なくしゃみや鼻水の原因が、実は耳から発生した鼻咽頭ポリープであることがあります。
特に若齢猫で症状が続いている場合には、耳科疾患の可能性も考慮することが重要です。
当院では、
- ビデオオトスコープによる精密検査
- 鼻咽頭ポリープの摘出
- レーザー治療
- 鼻腔洗浄
- 細菌培養検査
まで一貫して対応しています。
慢性的な鼻炎や呼吸音の異常でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。


